「やぼろじ」は、東京都国立市谷保、都道(元甲州街道)沿い、
江戸時代から続く旧家「本田家」の敷地の一角にあります。
ここは谷保村の医者本田と呼ばれ、地域医療を担ってきた民家です。
約360坪の敷地には、庭、築50年の母屋、離れ、井戸小屋、蔵、
畑がありましたが、先代が診療所を閉じ、家主は横浜へ移転。
10年以上空き家になっていました。
2009年秋。“この場所をもっと有効に活用できるのでは”と、
まずはじめに、路地の奥につづく畑の開墾が始まりました。
さらに翌年6月、「谷保の家再生プロジェクト」が発足し、
地主・職人・学生・子どもたちの協力により、敷地全体を大規模改修。
敷地を囲っていたコンクリート塀も撤去され、敷地と路地もひとつながりに。
ここを「谷保の路地に開かれた場所」にしたいと
「やぼろじ」と命名しました。
「やぼろじ」の民家には現在、カフェ、工房、ガーデン、ヘアサロン、子育て支援スペース、
デザイナーや建築家が入居し、シェアしています。畑はコミュニティガーデンとして
「野の暮らし」が活動を行っています。
また、地域活性の場として、協働で手作り市を開催したり、
それぞれの職能を活かした発信や交流の場として、住や食、農や自然など
くらしに関するワークショップやトークショーなどのイベントも行っています。
田んぼの残る谷保の里山、庭の草木花、豊かな自然。
蔵、井戸、縁側、茶の間、欄間、土壁などの日本の伝統的な佇まい。
畑へ続く路地裏のどこかなつかしい風景。
この恵まれた環境の大切さを感じながら、
これからも民家を拠点に、自分たちがいま出来ることを
ていねいに続け、未来につなげていきたいと思います。